宅配クリーニングは「クローゼットの原価」で決める|1畳あたり家賃から損益分岐点を計算
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この記事の要点
- オフシーズン衣類が占める0.5畳には、家賃10万円・50㎡の家なら年およそ2万円分の「収納スペースの機会費用」がかかっています(実際に現金で払う金額ではありません)
- クリーニング代など実費だけで比べると、店舗+自宅保管は22,500円、保管付き10点パックは13,500円で差は約9,000円。ここに収納スペースの機会費用を足すと差は約2万円に広がります
- アウター中心なら保管付きが有利になりやすい一方、シャツ・ニットを詰めると割高になりがち。点数パックは単価の高い上着だけで埋めるのがおすすめです
ランキングを見ても決められなかった理由
去年の春、私はダウン3着とウールコート2着を抱えたまま、比較サイトを1時間ほど眺めて結局ブラウザを閉じました。どのサイトも1位が違うんですよね。値段も点数も保管月数も、並べられれば並べられるほど決め手がなくなります。
そこで発想を変えました。比べるべき相手は他社ではなく、「自分の家のクローゼット」だったんです。冬物を家に置いておくのはタダに見えて、実は毎月家賃を払って倉庫を借りているのと同じ。ここを数字にしたら、10分で結論が出ました。
まず出すのは「1畳あたり月額家賃」
計算式はこれだけです。
- 1畳あたり月額 = 家賃(または住宅ローン月返済額)÷ 専有面積(㎡)÷ 1.62
- 1畳=約1.62㎡で換算します(不動産表示の一般的な目安です)
例として、家賃10万円・50㎡なら、50÷1.62=約30.9畳。10万円÷30.9=1畳あたり月3,236円になります。
オフシーズンの厚手アウターとその衣装ケースが占める面積を、控えめに0.5畳としましょう。
- 月額:3,236円 × 0.5 = 約1,618円
- 冬物をしまっている期間を4月〜10月の7か月とすると = 約11,300円
- 夏物も同じ理屈で年間通せば、年およそ2万円が「服を置いておく場所の価値」になります
ここで大事なのは、この2万円は実際に振り込む請求書があるわけではない「機会費用」だということです。持ち家の方は、ローン返済額に固定資産税の月割りを足して同じ式に入れてみてください。地方の広い家なら1畳1,500円を切ることもあります。この数字が高いか安いかで、答えは自然と分かれます。
実費と機会費用、2段階で並べると差がはっきりします
まず実際に現金で支払う「実費」だけで比べてみます。理由は、店舗側のコストが「クリーニング代だけ」では終わらないからです。
| 項目 | 店舗+自宅保管 | 保管付き10点パック |
|---|---|---|
| クリーニング代 | 平均1,800円×10点=18,000円 | 13,500円前後(送料込みが主流) |
| 防虫剤・除湿剤 | 年3,000円前後 | 0円 |
| 衣装ケース(3年で割った額) | 年1,500円前後 | 0円 |
| 実費小計 | 22,500円 | 13,500円 |
実費だけなら差は約9,000円です。ここに、さきほど計算した「収納スペース代」という機会費用(現金の支出ではなく、家賃換算した目安の金額)を加えると、店舗+自宅保管の方だけ約11,300円上乗せされます。保管付きパックは自宅の収納スペースを使わないため、この上乗せがありません。
| 項目 | 店舗+自宅保管 | 保管付き10点パック |
|---|---|---|
| 実費小計 | 22,500円 | 13,500円 |
| 収納スペースの機会費用 | 約11,300円 | 0円 |
| 合計 / 1点単価 | 約33,800円 / 約3,380円 | 13,500円 / 1,350円 |
「現金の支出」だけで比べるなら差額は約9,000円、「収納スペースの価値」まで含めるなら差額はおよそ2万円という2段階で見るのが正確です。自宅の収納に余裕がある方は前者(実費9,000円)を、収納が手狭で「その分他に使いたい」という方は後者(2万円)を判断材料にしてみてください。
店舗単価は、チェーン店の一般的な相場観(コート1,500〜3,000円、ダウンはもう少し上)をもとにした目安です。店舗によって料金体系は異なるため、正確な金額は利用予定の店舗の公式サイトで確認してください。
損益分岐点は「点数」と「畳」の2本立て
- 点数の分岐:パック料金 ÷ 点数 が、その服の店舗単価を下回るか。10点13,500円なら1点1,350円。コート・ダウン・ジャケットなら割安になりやすく、シャツ(店舗200〜300円)は割高になりがちです
- 畳の分岐:1畳あたり月2,000円以上なら、保管付きに寄せる判断がしやすくなります。家賃10万円・50㎡クラスの都市部はほぼここに入ります
- 1畳1,200円を切る広めの地方物件で、預けたいのが3〜4点だけなら、店舗+自宅保管でも十分成り立ちます
20点パックが2万円台前半のサービスなら1点1,100円前後まで下がるので、家族2人分の上着をまとめて1つのパックに入れるのが単価的にはいちばん効きます。私は夫婦のコート類を合算して20点にしました。
衣替えカレンダー:出すのは春、指定するのは秋
保管付きは「いつ出すか」で単価が変わります。私が実際に回している年間の流れです。
- 4〜6月:申し込みのベストシーズン。各社が春のキャンペーンを打つことが多く、クーポンや保管無料が乗ることがあります
- 7〜9月:閑散期。ここも比較的空いていて仕上がりが早い傾向にあります
- 10〜11月:返却希望日を指定。実際に着たい日の2週間前を指定日にしておくと安心です
- 12月:年末は工場が混みます。返却までに時間がかかることもあるので、避けるのが無難です
申し込み前に見るべき規約の5点
- 返却日の変更可否と締切:15営業日前まで、など期限つきのところがあります。変更に追加料金がかかる場合も
- 保管期間の上限:最長7か月〜12か月と幅があります。超過時の延長料金の有無も確認してください
- 送料無料ライン:北海道・沖縄・離島は別料金というパターンが多いので注意が必要です
- 再仕上げ無料の期間:到着後7日以内など短めの設定が一般的です。届いたその日に開封して検品する前提で予定を組んでください
- 点数オーバーの扱い:袋に入り切らなければそこまで、というサービスもあれば、1点1,650円などの超過料金を取るところもあります
「これは預けない」の線引きが一番大事
安さより先に決めておきたいのが、預けてはいけない服です。理由はシンプルで、補償には上限があるからです。
- 多くの業者は業界共通のクリーニング事故賠償基準に沿っていて、賠償額は購入価格そのままではなく購入からの経過月数で目減りしていきます
- 加えて各社が独自の上限を設けています。例として、1点あたり上限10万円・1バッグあたりの上限も別途、という形です
- ブランド品や高額品は、申告しないと上限が低いままのこともあります。事前申告や専用コースの有無を必ず確認してください
私が点数パックに入れない基準は「買値5万円以上」「二度と同じものが手に入らない」「型崩れしたら終わり」の3つです。具体的にはこうなります。
- 入れる:ウールコート、ダウン(一般ブランド)、ジャケット、スーツ上下、厚手のニットコート — 店舗単価が1,500円を超えるもの
- 入れない:礼服(急に必要になるのに手元にない事態が最悪です。喪服は自宅保管一択だと思っています)、高級ダウン、ムートン、革・毛皮、思い入れのある一着
- 店舗で十分:ワイシャツ、薄手ニット、パンツ単品 — パック1点分の枠を使うのはもったいないです
礼服については、私は一度これで冷や汗をかきました。訃報は季節を選んでくれません。7か月後に返ってくる場所に置いていい服ではないと痛感しました。
最後に、動く順番だけ整理します
やることは3つです。家賃と面積から1畳あたりの月額を出す。次に、クローゼットのオフシーズン枠から店舗単価1,500円超のアウターだけを抜き出して数える。その点数が10点を超えていて、1畳あたり月2,000円以上なら、保管付きパックに寄せたほうが家計にも部屋にも効きます。
各社の料金は公式サイトの点数別ページで確認でき、キャンペーン時期で数千円は動きます。まずは4〜6月のうちに、候補2社の「点数×料金×保管月数×返却日変更の可否」だけメモしてみてください。
ちなみにこの「わが家の実測から逆算する」やり方は、他の生活サービスにもそのまま使えます。以前書いたウォーターサーバーを月間使用量から逆算して選ぶ話も、考え方は同じでした。ランキングの1位より、自分の家の数字のほうがずっと当てになります。
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